アブストラクト(34巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸部下行及び胸腹部大動脈瘤手術時の脊髄虚血診断のための体性感覚誘発電位(SEP)の測定-その有用性と限界についての検討-
Subtitle :
Authors : 岡良積, 宮本巍, 鄭為堯, 北井公二, 青木啓一, 村田紘崇
Authors(kana) :
Organization : 兵庫医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 1
Page : 34-39
Year/Month : 1986 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体性感覚誘発電位(SEP)は胸部下行及び胸腹部大動脈瘤手術時の脊髄虚血発生の診断に有用であるとされているが, SEPを引き起こすインパルスは主として脊髄の後索を上行するため, 前角や側索のみの障害時にはSEPは変化しない可能性がある. 本研究では脊髄の虚血によりSEPの低下・消失なしに脊髄障害を来すことがあるかどうかについて実験的に検討した. 実験方法は雑種成犬20頭を用い, 種々の範囲の肋間及び腰動脈を結紮して, 術後の脊髄障害の発生状態と術中術後におけるSEPの変化を観察した. その結果, 完全に対麻痺の発生した5頭のうち, 3頭にはSEPの有意な低下もしくは消失が認められたが, 残りの2頭にはSEPの低下・消失は認められなかった. 不全対麻痺を発生した4頭にも変化は認められなかった. 本研究により, その原因が虚血によるものであっても, SEPの低下・消失なしに対麻痺を来す場合のあることが実験犬で明らかとなった. ヒトにおいても同様なことが起こり得る可能性が考えられるため, 胸部下行及び胸腹部大動脈瘤手術時のSEPのモニタリングに際しては, その有用性とともに限界をも十分認識した上で用いることが必要であると思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸部下行大動脈瘤, 胸腹部大動脈瘤, 脊髄障害, 対麻痺, 体性感覚誘発電位(SEP)
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