アブストラクト(34巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 食道再建術に伴う呼吸循環動態の変化-術式別検討-
Subtitle :
Authors : 松森正之, 良原久雄, 小山隆司, 沢田勝寛, 小沢修一, 中村和夫
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 1
Page : 57-61
Year/Month : 1986 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸部食道癌切除後の再建術式として普通胸骨後再建術と胸壁前再建術の何れかが行われているがこれら術式による術中及び術後の血行動態の変化を比較検討した論文はない. 著者らはSwan-Ganzカテーテルを用い, 術前, 術中及び術後5日間にわたりこれら2術式の比較, 更には胸骨後経路で亜全胃と大弯側胃管を使用した場合の比較を行い興味ある知見を得たので報告する. 対象は教室で過去約3年間に手術された食道癌症例のうち28例であり, 亜全胃による胸骨後再建術群(I群), 大弯側胃管による胸骨後再建術群(II群), 胸壁前再建術群(III群)の3群に分けて検討した. まず胸骨後再建ルートを作成するための胸骨後剥離操作が循環系にどのような影響を及ぼすかを調べたところ剥離操作中に心指数(CI)が約1l/min/M2減少しこれは胃管挿入終了後にも完全には前壁に回復しないことが判明した. 次に各群別に術後呼吸循環動態をしらべたところIII群は1群, II群に比べ術前の状態が悪いにもかかわらず心拍数(HR), CI, 右心1回仕事量係数(RVSWI), 左心1回仕事量係数(LVSWI), 肺内シャント率(Qs/QT)などで明らかに良好な術後経過をとった. 従って高齢者や術前状態の悪い症例に対しては再建術式として胸骨後経路より胸壁前経路を用いる方が呼吸循環面からみて有利であると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 食道癌, 呼吸循環動態, 再建術式, 亜全胃, 大弯側胃管
このページの一番上へ