アブストラクト(34巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左心バイパスポンプの至適駆動時相に関する実験的研究特にNorman型ポンプ使用時におけるcopulsation法とcounterpulsation法の自己心機能に及ぼす影響について
Subtitle :
Authors : 小笠原弘二, 瀬在幸安
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 1
Page : 69-76
Year/Month : 1986 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後の低心拍出症候群(LOS)及び, 急性心筋梗塞症に合併する急性左心不全例に対し, 機械的補助循環法の進歩, 普及はめざましいものがあるが, 未だ救命し得ない重症例が散見される. そこで近年, 特に拍動流を使用した左心バイパス法に多くの期待がもたれ, 臨床応用も始っている. 駆動方法に関しては, 現在のところ最適と思われる方法は確立されておらず, 自己心の拍動と無関係に駆動されていることも多い. しかしながらより効果的な左心補助効果を得るためには, 左心バイパスポンプ(LVAD)の駆動と自己心の拍動との関連は大きな問題と考えられる. そこで今回, 実験的にブタを使用して左室梗塞に伴う急性左心不全を作成し, LVADの駆動時相を変化させた時の自己心の受ける影響について検討を行った. 梗塞作成により, 平均動脈圧, 心拍出量は著明に低下し, 左室拡張終末期圧(LVEDP), 肺動脈楔入圧, 平均左房圧などの上昇, 左室駆出率(EF)の低下が認められ, 急性左心不全を伴う心原性ショックが確認された. これらに対し大動脈内バルーンバンビング法(IABP)を施行したが, ショックレベルからの離脱は不可能であった. またLVADを装着し, copulsation 法とcounterpulsation法で左心補助を行った. この左心バイパス法はいずれもショックレベルからの離脱は可能であったがcounterpulsation法がより自己心機能回復に効果的であった. このことから, 拍動流ポンプを用いた左心バイパス補助を行う場合, 全身循環の維持のみでなく, より効果的な自己心の心機能回復を考えると, ポンプの駆動は自己心と同期, しかもcounterpulsation法による駆動条件の必要性を確認した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 機械的補助循環, copulsation, counterpulsation, 左心バイパス, 拍動流ポンプ
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