Abstract : |
低肺血流性心疾患では, 肺動脈の発育度の評価は, 手術適応を決定するうえで重要である. 我々は, 左右肺動脈の断面積を使用した新しい評価法を考案し, これを利用して低肺血流性疾患に対する各手術法に対してretrospectiveに手術成績を検討した. 本評価法は, 左右肺動脈断面積和が体表面積の増加に対して直線比例で増加するという事実に基づいている. 標準化のため左右断面積和を体表面積で除し, この値をPA-indexと名付けた. 正常40例より計算されたPA-indexの正常値は330±30であった, Fallot四微症に対し右室流出路拡大術を含めた心内修復術, 及びRastelli術を施行した症例の肺動脈はPA-index 100(30% normal)から400(within normal)と, ほぼ同じような広いスペクトラムを示したが, Fontan術を施行した症例は正常例に近いスペクトラムを示した. 手術成績からみた現時点での手術適応はFallot四微症心内修復術100以上, Rastelli術200以上, Fontan術250以上となった. またPA-indexはechocardiographyで計測した左心房, 左心室径とも相関を示した. このことは, PA-indexが肺動脈の発育度の評価ばかりでなく, 左心系の発育度の指標としても有用なことを示している. 本PA-indexを計測する上で問題となる症例を提示し, それぞれについての問題点を言及した. 限局性の狭窄は信頼できるPA-indexを計算できるが, 末梢性多発性狭窄や巨大側副血行路を伴う症例は対象から除外している. |