アブストラクト(34巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : バルサルバ洞動脈瘤破裂29例に対する外科治療成績と遠隔成績
Subtitle :
Authors : 安倍十三夫, 杉木健司, 浅井康文, 稲岡正己, 松崎智哉, 柳谷晶仁, 塚本勝, 中西克彦, 高木伸之, 小松作蔵
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 2
Page : 180-186
Year/Month : 1986 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : パルサルバ洞動脈瘤破裂症例29例を経験したので術前診断, 合併心奇形, 瘤及び破裂部位, 手術方法, 再手術例の検討及び長期遠隔成績について報告した. 対象症例は男性16例, 女性13例, 手術時年齢3~58歳(平均21.7)である. 術前, 動悸, 易疲労性はほぼ全例に認め, 術前合併心病変は心室中隔欠損(VSD)15例(52%), 大動脈弁閉鎖不全(AR)9例(31%), その他, 動脈管開存, 僧帽弁閉鎖不全, 肺高血圧症を各1例に, 心内膜炎の合併を3例(10%)に認めた. 瘤発生部位として, 右冠動脈洞27例(93%), 無冠動脈洞2例(6.9%), 左冠動脈洞1例(3.4%)であった. 破裂部位別では, 右室28例(96%), 左室2例(6.9%), 右房及び左房が各1例(3.4%)あり, 同一症例で2ヵ所, 3ヵ所に破裂口を有した症例は各1例で, 後者では, 心内膜炎の合併による後天性要因が示唆されたが, 他の症例は全例先天性と考えられた. 手術々式として, 初回手術では8種の異なった術式を用いた. 破裂口への到達法として, 右室切開のみ20例, 同時大動脈切開併用5例, 右房切開と大動脈切開1例, 肺動脈切開と大動脈切開1例, 左房切開と大動脈切開2例であった. 破裂口の閉鎖とVSDの閉鎖を直接縫合閉鎖した26例中8例(30%)に再手術を必要とし, パッチ閉鎖した6例では再手術は認めなかった. 手術死亡は1例(3.4%), 遠隔死亡4例(14.3%)であり, 遠隔死の4例は全例AVR例で, 感染2例, 突然死及び心不全各1例であった. 術後は心胸郭比8%の減少(術後11年), また, NYHA重症度分類では, 退院時I-II度症例25例(86%)であり, 術後の生存率も術後24年目で86.5±7.4%と, 概ね長期成績は良好であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : バルサルバ洞動脈瘤破裂, 心室中隔欠損症, 大動脈弁閉鎖不全症, 右冠動脈洞動脈瘤, 感染性心内膜炎
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