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不整脈の外科治療において, 刺激伝導系の切断は1つの方法であり, その手段としてメスによる切離及びcryosurgeryなどが用いられてきた. 非開胸的刺激伝導路切断法は実験的に試みられてきたが, 近年, カテーテル電極によるHis束切断法が報告され, 臨床的にも応用されている. 著者は, 更に選択的伝導路切断を目的として, カテーテル電極を用い直流通電による選択的右脚及び左脚ブロック作成の実験的研究を行った. 雑種成犬21頭を用い, 10頭で右脚, 11頭で左脚ブロック作成を試みた. 右大腿静脈より, 7Fカテーテル電極を挿入し右心側よりのHis束電位及び右脚電位を得た. また, 右頸動脈より同様にカテーテル電極を挿入し, 左心側よりのHis束電位及び左脚電位を得た. 右脚ブロック作成群は, 最も明らかな右脚電位を得られた双極間に, 50Jの直流通電をR波に同期させて加えた. 左脚ブロック作成群も, 同様の方法にて行った. DCショック前後に標準四肢誘導心電図及び心外膜マッピングを行い, 比較検討した. その結果, 各州とも, 全例で目的とする脚ブロックが作成され, 心外膜マッピングにて右脚及び左脚ブロックのパターンを呈した. 直流通電による損傷部は, 浮腫, 出血斑を認め, 組織学的に凝固壊死に陥った脚を認めた. 本法により, 非開胸的に右脚及び左脚ブロックの実験モデル作成が可能であり, 更に, マクロリエントリーを有する心室頻拍の非開胸的治療法としても応用できると考えられた. |
