アブストラクト(34巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 乳幼児開心術における拍動流体外循環法の応用
Subtitle :
Authors : 和田行雄, 佐々木義孝, 門脇政治, 北浦一弘, 西山勝彦, 村山祐一郎*, 橋本宇史*, 白方秀二*, 大賀興一*, 岡隆宏*
Authors(kana) :
Organization : 京都府立小児疾患研究施設(外科第2部門), *京都府立医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 2
Page : 213-219
Year/Month : 1986 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 乳幼児開心術18例の補助手段として, 拍動流による灌流冷却法を施行した. 本法では, まずローラーポンプにより, 自己心拍による拍動流を温存した低流量部分体外循環で灌流冷却を開始し, 低血圧, 脈圧狭小とともに拍動型ポンプによる完全体外循環として食道温が20度C近くになるまで, 100~150ml/kg/minの高流量灌流で冷却を施行した. 開心術は, 心筋保護法を併用し, 低流量灌流, 又は循環遮断下に施行した. 心修復後の復温は, 冷却時と同様にローラーポンプ及び拍動型ポンプ併用による灌流加温を施行した. 本法では, 体外循環開始より開心までの平均所要時間は26.4分, 平均復温時間は35.3分とともに迅速な冷却及び加温が可能であった. 灌流中の動脈圧は, 全過程を通じて満足すべき血圧及び脈圧を呈し, 開心時における動脈圧平均は73.6±16.7mmHg, 脈圧平均は29.0±14.2mmHgであった. また灌流冷却中の動脈圧波形は, 立ち上がりの急峻な生理的動脈波に近似したものであった. 灌流冷却及び加温過程において, 食道温, 直腸温及び心筋温は僅少差をもって変化し, 開心時における食道温と直腸温の温度較差は平均2.6±2.1度Cと僅少であった. 本法のごとく, 終始良好な拍動流で灌流冷却及び加温されれば, 良好な組織灌流を保ちながら迅速, 且つ均等な冷却が可能であり, 補助手段として比較的簡便な方法であると考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 乳幼児開心術, 灌流冷却法, 拍動型ポンプ, 拍動流, 温度較差
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