アブストラクト(34巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : アルミナセラミック肋骨接合ピンの臨床的検討-特に胸部外傷における有効性について-
Subtitle :
Authors : 渡部智, 清水慶彦, 光岡明夫*, 田村康一*, 和田洋巳*, 伊藤元彦*, 人見滋樹*, 高嶋義光**, 松延政一***, 加藤弘文****
Authors(kana) :
Organization : 京都大学医用高分子研究センター実験外科研究部門, *京都大学結核胸部疾患研究所胸部外科学部門, **福井赤十字病院呼吸器科, ***健康保険滋賀病院呼吸器センター, ****滋賀医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 2
Page : 220-225
Year/Month : 1986 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : アルミナセラミック材料は, 優れた生体内安定性, 骨親和性, 機械的強度を保有しており, 整形外科, 歯科などの領域にとどまらず, 胸部外科領域においても用いられるようになってきた. 我々も, 加藤らのアルミナセラミック人工肋骨, 人工胸骨に関する基礎的実験に基づき, 1982年8月以来, 開胸術中に切断した肋骨あるいは胸部外傷における肋骨々折の整復・接合固定に際して, アルミナセラミックピンを臨床使用してきた. 症例は, 男性27例, 女性4例の31例, 年齢は32歳から77歳, 平均61歳であり, 疾患は, 肺癌19例, 胸部外傷6例, 肺腫瘍2例, 縦隔腫瘍, 自然気胸, 膿胸, その他各1例であった. これらの開胸術例に対して, 切断肋骨, 肋骨々折の全, 又は一部に京セラ製多結晶アルミナセラミックピンを使用し, 肋骨の整復・接合固定を行った. 閉胸時に, 接合ピンを肋骨髄腔内に用手的に挿入し, その周囲に絹糸あるいは鋼線にて結紮補強を加えた. アルミナセラミックピンによる肋骨の整復・接合固定は, 概ね良好な結果を得, 特に胸部外傷における肋骨の整復固定, 胸壁動揺の防止に有効であった. 但し, ピンによる肋骨接合固定部の治癒過程及び肋骨接合部の偏位, ピン逸脱例を考慮に入れると, 胸郭の呼吸運動という動的環境においては, ピン周囲の結紮補強に十分留意する一方, 生体材料学の面から, 早期に新生骨形成を促進し肋骨と結合していくbioactiveな人工骨材料へと改良していくことが必要であると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : アルミナセラミックス, 人工骨, 肋骨々折, 胸部外傷, 胸壁動揺
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