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7年間に行った純粋な冠動脈バイパス手術121例（男性102例, 女性19例）を対象として, 性差の冠動脈バイパス手術に及ぼす影響を検討した. 年齢は男性, 女性ともに平均55歳, 体表面積は男性1.64m2, 女性1.42m2と男性が有意に大きく, 不安定狭心症は男性15例（15%）, 女性6例（32%）と女性に高率であった（NS）. 陳旧性心筋梗塞の既往は男性48例（47%）, 女性6例（32%）で, 術前の左室駆出率は男性0.63, 女性0.61と差はなかった. 病変枝数では1枝病変と左主幹部病変は男女間に差がなく, 3枝病変は女性に高率であった（NS）. 早期死は. 男性5例（5%）, 女性2例（11%）, 遠隔死は男性2例（2%）, 女性1例（5%）とともに女性に高率であった（NS）. 早期死した女性の2例はともに不安定狭心症で準緊急的に手術を行い, いずれも不完全血行再建を行い術中梗塞に陥ったものである. 病変枝数とグラフト数の関係は男性2.2枝－1.9本, 女性2.5枝－1.8本で, 完全血行再建率は男性75%, 女性68%であった. 術中測定した冠動脈径やグラフト流量に男女間で有意差は認められず, グラフト開存率は男性87%, 女性75%であった（NS）. 術中心筋梗塞は男性9%, 女性11%で差はなかったが, 梗塞が直接死因となったのは男性11%に対し女性50%と高率であった（NS）. 術前後の駆出率の変化には両群に差はみられなかった. 今回の検討では, 男女間に年齢, 心機能, 冠動脈径, グラフト流量, 術中梗塞の頻度などに差はなかったが, 女性群に不安定狭心症並びに3枝病変の占める割合が多く, 血行再建率は劣った. 女性の早期死亡率は高値を呈したが, その原因は術前の状態と血行再建の不完全さに基づくものであり, 今後, 女性に対する冠動脈バイパス手術成績を更に向上させうるものと考える. |
