アブストラクト(34巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁輪形成術の遠隔成績に関する臨床的研究-心エコー図による検討-
Subtitle :
Authors : 麻田邦夫, 武内敦郎
Authors(kana) :
Organization : 大阪医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 3
Page : 313-328
Year/Month : 1986 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 弁膜症患者の手術に当たり, 自己弁を可及的温存すべきであるとの立場から, 1974年以降僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対しては, J.H.Kay法による弁輪形成術(MAP)を第一選択としてきた. 本法施行例のうち86例を僧帽弁閉鎖不全(MR)群, 狭窄を伴う閉鎖不全優位(MRs)群, 閉鎖不全を伴う狭窄優位(MSr)群の3群に分け, 術前から術後遠隔期に至る経過を心エコー図所見の推移から観察し, 臨床所見と比較した. 心エコー図の観察項目としては, (1)僧帽弁動態を表す指標として僧帽弁前尖後退速度(DDR), 最大振幅(E), (2)左房径係数(LADI), (3)収縮期左心機i能の指標として左室拡張末期容量係数(LVEDVI), 左室収縮末期容量係数(LVESVI), 心拍出係数(CI), 駆出率(EF), (4)拡張期左心機能の指標として左室拡張最大変化率(Peak dD/dt), 急速流入時間(RFT)をとり挙げた. 心エコー図所見と臨床所見を対比することにより以下の結論を得た. (1)MR群におけるDDR及びEの減少はMAPが確実に行われたことを示すものであり, MSr群におけるDDRやEの増大はOMCの効果を反映する. (2)MR群及びMRs群における術後LADI, LVEDVI, LVESVI, CI, 及びEFの変化は逆流の消失, 又は減少を示す指標となりうる. (3)MR遺残, 又は再発のために再手術を要した例ではE, LADI, 及び収縮期左心機能の諸指標値, 拡張期左心機能を示すPeak dD/dt値が経過良好例に比して有意に増大していた. (4)MR群では術後一旦低下した左室収縮機能が経過とともに再び改善する傾向があった. (5)Mモード心エコー図法はMAPの効果判定, MR, 又はMSの遺残ないし再発の診断及び再手術期決定の手段として極めて有用である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁輪形成術, Mモード心エコー図, 左室拡張最大変化率, 急速流入時間
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