アブストラクト(34巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 完全大血管転位症のMustard手術前後における右室・左室機能の変動に関する研究
Subtitle :
Authors : 島崎靖久, 八木原俊克, 加藤寛, 小川実*, 中埜粛, 松田暉, 広瀬一, 森本静夫**, 有沢淳**, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科, *大阪大学医学部小児科, **大阪大学医学部放射線科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 3
Page : 365-370
Year/Month : 1986 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 完全大血管転位症のMustard手術後は右室機能は低下しており, これには左室圧が関与していることを報告してきた. しかし, Mustard手術前後における血行動態の変動, 冠動脈血酸素飽和度の正常化によってもたらされる右室, 左室機能の詳細に関する検討は少ない. そこで, 心室中隔欠損, 肺動脈狭窄を有しない本症6例の手術前後に心精査を行い, 術前後の右室, 左室機能を検討した. この結果, 心室一回拍出量は右室, 左室ともに術前は正常の約150%であったが, 術後はともに約110%と正常範囲内にあった. 右室拡張末期容積は術前は正常の約200%であったが術後は182%へと軽度減少した. 右室駆出率は術前平均0.51であったが, 術後は平均0.40と有意に低下した(p<0.01). 左室拡張末期容積は術前は正常の約186%であったが, 術後は108%と正常化した(p<0.05). 左室駆出率は術前は平均0.56であったが, 術後は平均0.70と有意に上昇した(p<0.02). 右室コンプライアンスは術前平均0.082mmHg-1であったが, 術後は平均0.037mmHg-1と低下した(p<0.01). 左室のそれは術前0.112から術後0.137と軽度上昇した. 以上から, 術後右室機能は低下し, 左室機能は改善した. 右室機能の術後の低下については原因を明らかにし得なかったが, この成績は本手術の右室機能面からの限界を示すものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 完全大血管転位症, Mustard手術, 術前後右室機能
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