アブストラクト(34巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 表面冷却低体温法下, 虚血心筋の経時的変化の実験的検討-特に心筋エネルギー代謝と, 筋節の長さについて-
Subtitle :
Authors : 久慈敏信, 木村茂
Authors(kana) :
Organization : 愛媛大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 4
Page : 417-427
Year/Month : 1986 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈遮断解除後の心筋の虚血による障害の回復過程を, 心筋エネルギー代謝, 形態面より実験的に検討し両者の相関関係を検討した. 雑種成犬10頭を用い, 直腸温20.7±1.7℃で表面冷却低体温法下に大動脈遮断後, 大動脈基部よりの冷却GIK液10ml/kgの注入による心停止下に, 完全循環停止を60分間行った. 表面加温開始後遮断解除し心拍を再開させた. 遮断中の心筋温は21.2±1.5℃であった. 心筋標本の採取は, 大動脈遮断直前より遮断解除後180分まで経時的に右心室自由壁より貫壁性に採取した. エネルギー代謝面の指標として, 心筋組織内のATP, ADP, AMP, 乳酸, ピルビン酸を測定し, Energy charge(EC), Total adenine nucleotide(TAN)を求めた. また, 同一試料で, 電子顕微鏡下に筋節の長さを測定し, これら生化学的パラメーターとの相関について検討し, 以下のような結論を得た. 1)心筋虚血によりいったん低下したECは, TANの回復が不十分にもかかわらず, 虚血解除後比較的早期(約1時間)に回復した. 2)虚血によりいったん低下したTAN(遮断前の56.2%), ATP(遮断前値の49.2%)の回復は緩慢で, 遮断解除後180分でも遮断前値の74~75%と不十分である. 3)筋節の長さはECと有意な相関を示し, その回帰式はEC=-0.056×筋節長(μm)+0.908(r=-0.683, p<0.001, n=32)であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心筋エネルギー代謝, 循環遮断, 低体温法, Energy Charge, 筋節の長さ
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