アブストラクト(34巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 完全型心内膜床欠損症の根治手術における僧帽弁狭窄発生の防止法-特に超音波断層検査による僧帽弁外側尖の検索について-
Subtitle :
Authors : 横田通夫, 青嶋実, 白石義定, 曲人伸, 北野満, 嶋田一郎, 中野博行*, 上田憲*, 斉藤彰博*, 村岡隆介**
Authors(kana) :
Organization : 静岡県立こども病院心臓血管外科, *静岡県立こども病院循環器科, **福井医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 4
Page : 428-434
Year/Month : 1986 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 完全下心内膜床欠損症の根治手術においては, 共通前尖及び後尖を, 中隔パッチに縫合固定することから, 弁尖の可動部分が著しく減少し, 僧帽弁有効面積は術前より減少する. 弁口面積は外側尖の大きさに規制されるため, 外側尖の著しい低形成で裂隙縫合を行うと確実に狭窄を来す. 外側尖の低形成のため, 僧帽弁狭窄を来して死亡した2例の経験以来, 術前の超音波断層エコー検査で得た外側尖の計測値から, 狭窄の発生を防止し得る裂隙縫合限界点を算出した. 術後の有効弁口面積は, 外側尖を底辺とし, 外側尖弁輪から裂隙縫合点までの距離を高さとする三角形で概算した. 術前に外側尖を検索し得た7例中, 5例の外側尖は15~19mm(平均16mm)で十分大きく, 裂隙縫合限界点4~13mm(平均7.5mm)のところを, 3~6mm(平均5mm)縫合し, 狭窄を来すことなく修復し得た. ところが狭窄を来した2例の外側尖は7mm及び2mmと著しい低形成を示し, 裂隙縫合を全く行わなくとも, 正常の87%及び50%の面積しかなかった. 本症の共通弁輪は通常大きく(平均正常の154%), 外側尖の大きい症例では, 共通前尖, 後尖が非可動性となったとしても, 正常大の弁口面積を得ることができるが, 外側尖の低形成の場合は, その修復は困難である. 生後12ヵ月児に17mm Bjork-Shiley弁で人工弁置換を行ったが, 人工弁は突出して三尖弁を著しく圧迫していた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 完全型心内膜床欠損症, 僧帽弁外側尖低形成, 術後僧帽弁狭窄
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