アブストラクト(34巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 解離性大動脈瘤治療成績向上のための問題点-内科, 外科治療症例106例の検討-
Subtitle :
Authors : 土田弘毅, 橋本明政, 平山統一, 竹内敬昌, 福地晋治, 遠藤真弘, 小柳仁, 雨宮邦子*, 山口いづみ*
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医大心研外科, *東京女子医大心研内科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 4
Page : 453-461
Year/Month : 1986 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 解離性大動脈瘤の内科外科治療例106例を検討した. 急性解離の内科治療例は39例(I型13例, II型2例, III型24例)であり死亡はI型6例, II型1例, III型7例であった. 外科治療例は急性4例, 慢性63例(I型29例, II型11例, III型27例)で合計76回行っている. 初回手術死亡率は33.8%(65例中22例), 再手術は10例で11回行い4例が再手術後死亡した. これら内科外科治療例の急性期, 遠隔期死亡原因を検討し対策を述べた. 外科治療群では術後follow-up症例45例(1ヵ月~15年6ヵ月, 平均4年9ヵ月)の遺残大動脈瘤(以下遺残瘤とする)の大きさを瘤と同一部門の椎体横径と比較して予後との関連をみた. 瘤の大きさが1倍横径以下では遠隔期に問題となった症例はなく(0%, 19例中0例)1.5倍横径以上では遠隔期に再手術例, 破裂死を高率(69%, 16例中11例)に認めた. 慢性解離例では解離腔の運命は遺残瘤の大きさに規定され主要分枝に解離が及んでいるだけでは遠隔期に問題となることはなく術後高血圧症の有無でも血圧管理を行えば予後に違いはないといえる. 外科治療例のactuarial survivalは5年58.6%, 10年49.9%, 15年37.4%であった. 手術適応, 方針について急性解離ではI, II型のすべて, III型の分枝虚血症状例, 瘤形成の著しい例(同一部位の椎体横径と比較して2倍以上)があげられる. 慢性解離では瘤形成部位は切除置換が原則であり瘤化の少ない部位(同一部位の椎体横径と比較して1倍横径以下)は放置しても遠隔予後は変わりないので必ずしも解離部位の広範囲置換を行う必要はない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 解離性大動脈瘤, 遺残大動脈瘤
このページの一番上へ