アブストラクト(34巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 右室圧負荷疾患における左室形態-断層心エコー図法による検討-
Subtitle :
Authors : 佐野俊二*, 横田祥夫, 節家直巳, 岡本文雄, 清田芳春, 藤原慶一, 愼野征一郎
Authors(kana) :
Organization : 兵庫県立尼崎病院心臓センター, *岡山大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 6
Page : 818-822
Year/Month : 1986 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 右室圧負荷が左室形態に与える影響を断層心エコー図法を用いて検討した. 対象は同時期に心臓カテーテル検査及び断層心エコー検査を行った健常者(PRV/LV<0.3)5例(I群), 肺動脈弁狭窄症22例の計27例である. そのうち軽度の右室圧上昇を認めた11例(0.3≦PRv/Lv<0.5)をII群, 中等度上昇の6例(0.5≦PRv/Lv<O.75)をIII群, 高度の右室圧上昇を認めた5例(PRv/Lv≧0.75)をIV群とした. 断層心エコー図による左室変形率(Left Ventricular Deformity Index:LVDI)は短軸横断面で心室中隔の右室面と右室の前壁及び後壁との接合部を結んだ直線の垂直二等分線をひき, 左室内径d1を, 更にその垂直二等分線に直角な最大内径d2を求め, その比d1/d2をもって左室変形率(LVDI)とした. LVDIはI群では収縮末期0.90±0.02, 拡張末期0.88±0.03とほぼ正円であるのに比し, II群ではそれぞれ0.83±0.04, 0.82±0.06, III群では0.74±0.02, 0.72±0.03, IV群では0.67±0.03, 0.68±0.03と各群間で有意差を認め, PRv/Lvの上昇により左室の変形はより高度になった. 更にPRv/LvをX軸, 収縮末期LVDI及び拡張末期LVDIをY軸にとり, 各症例での両者の相関を検討すると, 収縮末期ではy=0.930e-0.325x(r=0.87), 拡張末期ではy=0.911e-0.302x(r=0.80)と両者ともPRv/LvとLVDIは良い相関を示した. 以上より断層心エコー図法により得られたLVDIは右室圧負荷の診断及びその程度の判定に有用である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 断層心エコー図法, 右室圧負荷, 心室中隔動態, 左室形態
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