アブストラクト(34巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Paravalvular leakageによる溶血性貧血-臨床経過と再手術の適応について-
Subtitle :
Authors : 伊奈博, 川副浩平, 加瀬川均, 小坂井嘉夫, 賀来克彦, 小原邦義, 富野哲夫, 鬼頭義次, 藤田毅
Authors(kana) :
Organization : 国立循環器病センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 6
Page : 823-828
Year/Month : 1986 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 弁置換後のparavalvular leakageは時に高度な溶血性貧血を惹起する. 昭和52年8月から昭和58年12月までに587例の弁置換を施行し, two dimensional Doppler echocardiographyにて16例にparavalvular leakageを認めた. 16例に使用された人工弁はIonescu-Shiley弁9例, Bjork-Shiley弁6例, Hancock pericardial弁1例であった. このうち溶血性貧血(Hb<10.5g/dl)の発現したものは, Ionescu-Shileyを用いた6例とBjork-Shiley弁の1例の7例であった. 術後血清LDHが1,500IU/Lを越え急速に上昇した3例の溶血性貧血は, 内科的治療では溶血の改善を認めず貧血の是正のために多量の輸血を必要とした. また3例のCrクリアランスは術前より低下した(術前平均40ml/分/m2, 術後平均11ml/分/m2), 1例では急性腎不全に陥り人工透析を余儀なくされたが, 全例再手術により溶血性貧血は消失した. 一方, 血清LDHが1,500IU/L前後まで上昇し, 以後漸減した2例は保存的に貧血は改善し輸血は不要であった. この2例のCrクリアランスは術前後でほとんど変化しなかった(40ml/分/m2, 38ml/分/m2). paravalvular leakageによる溶血性貧血に対し保存的治療を続け, いたずらに再手術の時期を遅延させることは患者のriskを高くすることになり, 術後早期に血清LDHが1,500IU/Lを越えてさらに上昇する場合には再手術の適応があると考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : paravalvular leakage, echocardiography, 溶血性貧血, 血清LDH
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