アブストラクト(34巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 急性左心不全に対する大動脈バルーンパンピングと左心補助人工心臓の併用法に関する実験的研究;特に冠血流量, 腎血流量に及ぼす影響について
Subtitle :
Authors : 折目由紀彦, 瀬在幸安
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 6
Page : 829-838
Year/Month : 1986 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 重篤な心ポンプ失調に対し, IABPよりも優れた補助効果をもつLVADは, 多くの基礎的研究の上に, 臨床応用もさかんに行なわれるようになってきた. このLVADによる左心バイパスを施行する場合, 多くはすでにIABPが行われており, LVADとIABPとの併用の必要性や駆動法などが問題となるが, これに関する研究は少ない. 今回, 著者はブタを使用し, 左室梗塞に伴う急性左心不全を作成し, IABP, LVADを各々単独に, また両者を同時使用した場合の血行動態的変化につき検討した. ショックに陥った不全心モデルに対しIABPを駆動すると, 心拍出量, 平均大動脈圧の上昇, 左室拡張末期圧, 肺動脈楔入圧の低下がみられたが, ショックレベルからの離脱は困難であった. しかしLVADをcounterpulsation法で駆動することにより, 容易にショックレベルから離脱可能で, 全身循環に対する補助効果, 左室仕事量の軽減効果, EVR及び冠静脈洞血流量からみたdiastolic augmentation効果は, いずれもIABPよりも有意に高いことが確認された. またIABP(couterpulsation法)とLVAD(固定レート法)の併用は, LVAD(counterpulsation法)単独使用と比較して, その効果に有意の差は認められず, LVAD単独でも十分に自己心機能回復に効果的であることが示され, むしろこの条件下での併用はEVRを低下させ, 冠血流量に悪影響を及ぼすと考えられた. 更に腎動脈血流量は, LVADの方がIABPよりも増加するが, 併用時は低下する傾向を示し, この駆動条件での両者の併用の必要性は薄く, 好ましくないと思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : IABP, LVAD, 左心不全冠静脈洞血流量, 腎動脈血流量
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