Abstract : |
31P-NMR装置を用い, 保存心筋内高エネルギー燐酸を, 連続的かつ非侵襲的に測定し保存心のViabilityを判定することにより, 心保存の実験的研究を行った. 研究目的)実験Iでは, 低温灌流保存における至適条件について, 実験IIではCoQ10, Verapamilの心筋保護効果, 特にReperfusion injuryに対する効果について検討した. 実験動物は家兎を用い, 摘出心をランゲンドルフ灌流装置に組み入れ, 5時間の低温灌流保存を行い, 以後Fc-43にて再灌流を行った. 実験群として実験IではI群:4℃グルコース加乳酸リンゲル液, II群:4℃コリンズM液, III群:15℃コリンズM液, IV群:4℃酸素加コリンズM液, V群:15℃酸素加コリンズM液, (各群n=5)実験IIでは全群, 灌流液に4℃コリンズM液を用い, I群:コントロール群, II群:CoQ10投与群, III群:Verapamil投与群, IV群:CoQ10, Verapamil投与群(各群n=5)にわけて検討を行い以下の結論を得た. 1. 灌流液の組成は細胞内液組成であるコリンズM液がエネルギー保存に有利である. 2. 保存至適温度は4℃であり, 酸素加灌流液の方がエネルギー保存に有利である. 3. CoQ10には低温灌流保存中のエネルギーを良好に保つ効果があり, また再灌流時の心筋障害に対し保護効果がある. 4. Verapamilには低温灌流保存中のエネルギーを温存する効果は認めなかったが, 再灌流時の心筋内酸化的リン酸化反応が良好に保たれた. |