アブストラクト(34巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 6時間単純冷却保存肺の機能回復に関する実験的研究
Subtitle :
Authors : 川原克信, 石井昇*, 白日高歩**
Authors(kana) :
Organization : 長崎大学医学部第1外科, *神戸大学医学部第2外科, **福岡大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 7
Page : 977-985
Year/Month : 1986 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 同種肺移植における, 冷却保存肺の機能回復の状態を評価するために, 雑種成犬5頭を用いて, 左主気管支, 左肺動脈, 左房カフに鉗子をかけて左肺を阻血無気肺とし, 氷水で6~8℃6時間冷却後, 100%O2による調節呼吸下に換気血流を再開し, 直後, 1日目, 1週目, 2週目に対側肺動脈閉塞試験を行って, 平均肺動脈圧, PaCO2, PaO2を測定し, 更にA-aDO2, 肺野シャント率を計算した. PaCO2, 及び平均肺動脈圧は, 対側肺動脈閉塞後, 上昇する傾向を示したが, 正常域を越えることはなく, 経日的にも著明な変動はみられなかった. PaCO2は, 直後, 及び1日目で閉塞後低下する傾向を示したが, 1週目以後は変動がなく300mmHg以上を示した. また, A-aDO2及び肺内シャント率も閉塞後上昇するが, 経日的には, 1週目は直後に比べ著明に低下し, 2週目にはほぼ正常域に回復した. 更に雑種成犬2頭を用いて, donor肺を4℃Modified Collins Solutionに漬けて6時間単純冷却保存し, 同種肺移植後の機能について同様の検討を行った. PaCO2, A-aDO2, 肺内シャント率は阻血無気肺群と同様iの変動をみたが, PaCO2, 平均動脈圧は, 2週目で上昇する傾向を示した. 6時間単純冷却保存肺の機能は, 換気血流再開後, あるいは同種移植後1週目に著明に改善し, 2週目にはほぼ正常に回復することが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 同種肺移植, 冷却保存肺, cyclosporine A
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