アブストラクト(34巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Bjork-Shiley弁血栓弁9例の検討
Subtitle :
Authors : 西田博, 川瀬光彦, 万納寺栄一, 菊池利夫, 維田隆夫, 榊原高之, 龍野勝彦
Authors(kana) :
Organization : 榊原記念病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 8
Page : 1077-1085
Year/Month : 1986 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1978年2月より1984年8月までの6年7ヵ月の間に459個のBjork-Shiley弁, spherical type(以下B-S弁)を用い人工弁置換術を施行したが, その間経験した9例の血栓弁症例に対し臨床的検討を行い以下の結論を得た. 1)血栓弁の発生頻度は, 三尖弁位2.2%/pt-yr, 僧帽弁位0.7%/pt-yr, 大動脈弁位0.3%/pt-yrの順序であり, 全体では0.6%/pt-yrであった. 2)僧帽弁位での人工弁縫着法による血栓弁の発生頻度はsupraannular 2.6%/pt-yr, subannular 0.4%/pt-yrであり, supraannular例で有意に(p<0.01)高率であった. このことは異常肉芽の発生部位と考えられるremnant断端が弁座により隔てられずに弁下組織に近接しそのトリミングも困難であることに起因すると思われた. 3)ワーファリンによる積極的な抗凝固療法を施行しているにもかかわらず血栓弁例のなかにコントロール不良例が6例認められ, 更に厳密な対応を要すると思われた. 4)tantalumのマーカー付の弁であったので, 血栓弁の診断に最も威力を発揮したのは弁透視であった. また経過途中に開放角40°台を呈した2例はいずれも結果的に弁機能不全に陥っており40°台は入院精査など慎重な対応を要する. 5)弁機能不全は決して全く突発的に発症するものではなく, 僧帽弁位における感冒様症状など全例が前駆症状を有しており, 早期診断の可能性, 重要性が示唆された. 6)僧帽弁, 三尖弁位では生体弁による再弁置換, 大動脈弁位では血栓, パンヌスの除去とdisk開放方向の180°転換を行い, 診断が遅れた1例を除き8例を救命し再手術後平均28ヵ月の現在経過良好である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Bjork-Shiley弁, 血栓弁, 弁機能不全, 弁透視, supraannular type
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