Abstract : |
虚血性心疾患に対する冠動脈血行再建術は安定した外科手技となり広く行われている. しかし, 術中直視下に冠動脈病変の観察を行うことは不可能であった. そこで, われわれは外径1.8mm flexible optic fiberscopeを使用し, 虚血性心疾患症例手術中に直視下の冠動脈血管内腔観察を行い冠動脈病変の検索を行った. 対象は心筋梗塞4例, 狭心症6例の計10症例に対して, 冠動脈血行再建術術中内視鏡学的検索を行った. 方法は大動脈遮断後GIK心筋保護液の持続灌流を大動脈基部から行い, 冠動脈内腔が無血野となったところで静脈グラフト吻合部予定の冠動脈切開部位から内視鏡を冠動脈内腔に挿入し冠動脈内腔観察を施行した. 観察冠動脈は左冠状動脈9本, 右冠状動脈3本である. 術中冠動脈内視鏡所見としては, 術前の冠状動脈造影所見に比べ, 冠動脈狭窄病変の程度, 及び性状がより詳細に観察できた. 更に, 造影で認められなかった内膜下の石灰化, intimal relief像をも観察することができた. 術中冠動脈内視鏡学的検索は, 術中直視下に冠動脈病変を観察し得ることから, 特に, 今回経験した症例の内3例の術中冠動脈形成術の評価には有用であった. |