アブストラクト(34巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 気管・気管支狭窄を伴う先天性心疾患の乳児期手術
Subtitle :
Authors : 加藤木利行, 福田豊紀, 小柳博靖, 小田豊, 鈴木玄一*
Authors(kana) :
Organization : 都立清瀬小児病院心臓血管外科, *都立清瀬小児病院麻酔科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 9
Page : 1669-1675
Year/Month : 1986 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1975年から1984年の10年間に, 気管・気管支狭窄を伴う先天性心疾患の乳児24例に手術を施行した(開心術17例, 非開心術7例). 手術早期死亡は2例(8.3%)と少なかったが, 遠隔死亡は8例(33.3%)と多く, その死因のほとんどが呼吸不全であった. 気管・気管支狭窄の形態により, これら24例を以下のような4群に分類した. I群:広範な気管・気管支軟化症(9例), II群:肺動脈の圧迫による気管分岐部の限局性狭窄(10例), III群:II群病変+多発性末梢気管支狭窄(3例), IV群:気管輪状軟骨(2例). 術後呼吸管理においても, この4群は各々特徴が認められた. I群では3例のみが抜管退院できたが, 他の6例は人工呼吸器を離脱できず, そのうち5例が呼吸不全により遠隔死亡した. 肺動脈縫縮吊り上げ術のこの群に対する効果は小さい. II, 及びIII群に対する肺動脈縫縮吊り上げ術の効果は著明で, LOS, 及び脳出血による死亡各1例を除く11例が軽快退院した. しかしIII群では1例が自宅で頓死し, 他の1例が気道閉塞による心停止を経験した. 予後の良好なII群に比し, III群は遠隔期にも厳重な経過観察が必要である. IV群の経験は少ないが, 重症心奇形との合併では救命は困難である. 以上の結果から, 気管・気管支狭窄を合併した先天性心疾患の外科治療に際しては, 術前に呼吸器系の十分な評価を行う必要があると考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 気管・気管支狭窄, 先天性心疾患, 肺動脈縫縮吊り上げ術, 気管・気管支軟化症
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