Authors : |
遠藤将光, 岩喬, 三崎拓郎, 麻柄達夫, 横井克己, 飯田茂穂, 斉藤裕, 辻口大, 川筋道雄, 二俣秀夫* |
Abstract : |
1976年より異種生体弁による三尖弁置換術(TVR)を15例に施行し, うち5例には僧帽弁置換術を同時に行った. 対象は後天性弁膜症6例, Ebstein病6例(うち4例にW-P-W症候群を合併), 心内膜床欠損症, 三尖弁閉鎖不全(TR)を伴った心室性頻拍症, TRによる蛋白漏出性胃腸症各1例であった. 三尖弁位に使用した生体弁はHancock弁11個, Carpentier-Edwards弁4個であった. 2例をLOSと悪性疾患にて早期に失ったが, 13例を5ヵ月から最長8年, 平均4年5ヵ月追跡した. 2例の晩期死亡を認め心筋症悪化, 及び不整脈死と思われた. 血栓弁・肺塞栓症などは1例も認めず, M-mode法, 2-DE法, 及びPDE法3者併用の超音波検査上, 2例の弁機能不全を認めたが, NYHA I度とII度にとどまりともに臨床症状は呈していない. 他の症例では弁尖の可動性・血流パターンは良好であった. 異種生体弁は抗血栓性に優れ, 機械弁によるTVRで高率に発生する血栓弁は1例も認めず, また耐久性も良好と思われた. 異種生体弁の遠隔期弁機能評価法として超音波検査は有用であり, 特にM-mode塗, 2-DE法にPDE法を加えることにより弁口付近の血流パターンが判明し, 弁の形態学的変化ばかりでなく血行動態の変化も明らかとなる. また臨床症状を呈する以前に, 早期の軽度弁機能不全も検出可能であり, 異種生体弁の追跡調査には不可欠の検査法である. |