Abstract : |
心房中隔欠損症における肺体血流量比の評価を心血管造影法並びに心エコー法により行い, 両者の対比より, 心エコー法による本症の肺血行動態の非観血的評価の可能性につき検討した. 合併心奇形や有意の房室弁逆流のない心房中隔欠損症25例に対し, Mモード心エコー法により右室径, 左室径を, 断層心エコー法におけるapical four-chamber viewより右室断面積, 左室断面積を計測した. 検査時の年齢は, 5ヵ月から60歳(平均19歳)であった. 心エコー法により求めた諸計測値と心血管造影法により求めた肺体血流量比との関係を検討し, 次の結果を得た. 1. 右室径指数と肺体血流量比との間には, 有意な相関はみられなかった. 2. 右室断面積指数(cm2/m2)(x)と肺体血流量比(y)との間には, y=1.11+0.047x, r=0.41, SEE=0.52の直線相関を認めた. 3. 右室左室径比(x)と肺体血流量比(y)との間には, y=0.62+1.53x, r=0.71, SEE=0.40の直線相関を認めた. 4. 右室左室断面積比(x)と肺体血流量比(y)との間には, y=0.55+1.01x, r=0.83, SEE=0.32の直線相関を認めた. 以上より, 断層心エコー法により右室左室断面積比を計測することにより, 本症の肺血行動態の定量的評価が非観血的に可能であることを明らかにし得た. |