Abstract : |
大動脈弁置換術(AVR)に際し, 狭小な弁輪を有する狭窄症5例にmanouguian法を採用し, 感染性心内膜炎(IE)で僧帽弁と大動脈弁の両弁置換術(DVR)1例にもManouguian法を応用した. 術後遠隔成績をManouguian法によるAVRと大動脈弁狭窄症を主体とした例で弁輪拡大をしなかったAVR例との比較, 更にManouguian法によるDVRと普通のDVR例との比較をし, Manouguian法の適応を検討した. 一方, 正常成人例の剖検心を検討し, Manouguian法の有用性と問題点を指摘した. 1. Manouguian法による弁輪拡大後のAVRで拡大率は, 術前弁輪径の二段階(4mm)大きいサイズの弁を置換することができた. また遠隔期に僧帽弁閉鎖不全もなく優れていた. 2. Manouguian法によるAVRの適応は年齢や性別も考慮し, 体表面積(BSA)1.40m2以下の例には縫着弁化径19mm以上, BSAが1.40~1.60m2の例には21mm以上, BSAが1.60~1.70m2の例には23mm以上, BSAが1.70m2以上の例には25mm以上の大動脈弁を用いることが望ましい. 3. Manouguian法によるDVRも臨床上極めて有用な方式であり, 普通のDVRよりみるとBSA1.30~1.40m2の例には大動脈弁A21~僧帽弁M25mm以上, BSA 1.40~1.60m2の例にはA23~M27mm以上, BSA 1.60~1.70m2の例にはA25~M27mm以上, BSA 1.70m2以上の例にはA25~M29mm以上が望ましいが, 弁輪狭窄例にはBSAと両弁置換の弁輪径を一段階(2mm)ずつ小さくしても問題はないと考えられる. |