アブストラクト(34巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈-冠動脈バイパス手術における塩酸ジルチアゼム投与の効果-特に長時間持続点滴法の有用性について-
Subtitle :
Authors : 志熊粛, 小池龍, 佐藤晴瑞, 木村弘, 大森英夫, 麻田邦夫, 井上隆夫, 大関道麿, 佐々木進次郎, 武内敦郎
Authors(kana) :
Organization : 大阪医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 11
Page : 1903-1908
Year/Month : 1986 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈-冠動脈バイパス症例に対してCa拮抗薬の塩酸diltiazemを3種の異なる方法で投与し, 血中及び心筋内diltiazem濃度や術前後の血行動態を比較し, 心筋保護効果や至適投与法の検討を行った. 症例はコントロール群8例, diltiazem経口90mg/日を術前1週間投与したA群8例, A群法に加え, 体外循環開始2時間前より1.5μg/kg/分の持続点滴を開始し, 術後2日目まで続行したB群6例, A群法に加え, 術前日からB群法に準じた持続点滴を開始したC群9例である. diltiazemの血中及び心筋内濃度はC>B>Aの順で, C群では120~180ng/mlの血中濃度と400~1,200ng/g・tissueの心筋内濃度が得られ, また薬動力学的に求めた理論上の血中濃度を上回ったのはC群のみであった. 心拍出係数, 左室1回仕事量などの術後血行動態もB, C群がコントロール群及びA群に比し優れた値を示し, 特にC群が良好であった. またB, C群においては, 不整脈やスパズムは1例にも認められなかった. Intra Aortic Balloon Pumping使用頻度, 手術死亡についても, B, C群が非投与あるいは経口投与のみの群に比し著しく低値であった. 以上の結果から, 体外循環開始時より術後にかけては, 100~200ng/ml程度のdiltiazemの血中濃度を維持することが良好な心筋保護に連がるものと考えられた. そのための投与法としては, 今回の3種のうちでは術前1週間90mg/日の経口に加え, 術前日から術中・術後を通じて1.5μg/kg/分の持続点前を行うことが望ましいと判断された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : A-Cバイパス手術, 塩酸diltiazem, 心筋・血中濃度, 薬動力学的解析, 心筋保護
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