アブストラクト(34巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 新生児期心疾患における治療成績-特に自然死亡と手術成績の関係について-
Subtitle :
Authors : 上田憲, 中野博行, 斎藤彰博, 横田通夫*, 青嶋実*, 白石義定*, 曲人伸*, 北野満*, 嶋田一郎*
Authors(kana) :
Organization : 静岡県立こども病院循環器科, *静岡県立こども病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 11
Page : 1931-1936
Year/Month : 1986 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1977年4月より1985年3月までの8年間に先天性心疾患のため日齢28日以内に入院した新生児138例を対象に, 新生児搬送用救急車の導入された1982年1月を境として前期と後期に分け, ショック状態, 心カテーテル検査施行, 入院時日齢, 手術術式, 手術成績及び自然死亡について検討した. 特に手術成績に大きく影響するにもかかわらず従来無視されることの多かった自然死亡と手術成績の関係を外科治療成績として分析した. 入院患者数は前期5年間で67例に対して, 後期は3年間で71例と著しい増加を示し, 日齢7日以内の患者は前期43例(68.3%), 後期47例(66.2%)であった. 入院時ショック状態であった例は前期12例(17.9%), 後期11例(15.5%)と新生児撮送用救急車の導入後も減少しなかった(NS). 心疾患はチアノーゼ性心疾患が多く, 手術術式もチアノーゼ性心疾患に対する姑息的手術が, 前期手術数28例中16例(57.1%), 後期52例中32例(61.5%)であった. 自然生存例37例を除いた101例の自然死亡, 手術死亡, 手術生存の比率は前期では42例中それぞれ15例(35.7%), 11例(26.2%), 16例(38.1%)と手術死亡より自然死亡が多かった. これに対して後期では59例中それぞれ7例(11.9%), 20例(33.9%), 32例(54.2%)と, 手術死亡は減少しなかったが(NS), 自然死亡が激減し(p<0.01), 結果として生存率は38.1%から54.2%と統計上有意とは言えないが増加傾向を示した. 新生児期心疾患の治療では, 地域の病的新生児の搬送システムが患者のpick-upに重要な役割を持ち, また入院後の治療成績については単に手術成績のみではなく, 自然死亡を含め総合的に評価されるべきものと思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 新生児, 先天性心疾患, 自然死亡, 手術成績, 新生児搬送システム
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