アブストラクト(34巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : St. Jude Medical弁による代用弁置換術の遠隔成績
Subtitle :
Authors : 林純一, 大谷信一*, 中沢聡, 藤田康雄, 岡崎裕史, 土田昌一, 飯塚亮, 横沢忠夫, 山崎芳彦, 江口昭治
Authors(kana) :
Organization : 新潟大学医学部第2外科, *水戸済生会総合病院胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 11
Page : 1966-1973
Year/Month : 1986 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1979年12月から1985年5月までに教室でSt. Jude Medical弁による弁置換術を施行した後天性弁膜症115例138個(MVR 72例, AVR 23例, 連合弁置換20例)の遠隔成績を検討した. (1)手術死亡は5例, 4.3%であった. (2)脳塞栓症は, 術後急性期で1例, 遠隔期ではワーファリンを中止した2例に発症した(AVR 1.59%/P・Y, MVR 0.98%/P・Y). TIAは疑診例を含めAVRで1例(1.6%P・Y), MVRで6例(3.1%/P・Y), DVRで1例(2.7%/P・Y)であった. (3)術後高度溶血性貧血を3例に認め, 2例で再手術時小leakageが確認された. 慢性期血清LDH値はAVR症例でやや高値であった. (4)PVEは1例に認めた. 脳出血はIE例の術後急性期に1例認めたが遠隔期ではなかった. (5)遠隔死亡はMVRで術後1年以内に4例, AVRで術後2年8ヵ月の1例であった. 術後5年でのactuarial survival rateはMVR 93.8±3.0%, AVR 90.5±9.0%, AVR+MVR 100%であった. (6)以上のすべての重篤な合併症をeventとしたevent-free rateは術後5年でMVR 90.5±3.7%, AVR 94.9±5.0%, AVR+MVR 100%であった. (7)遠隔期に心臓カテーテル検査で測定した有効弁口面積は25Aが3.3cm2(Ex 3.3cm2), 29Mが2.8cm2(Ex 3.5cm2)であったが, 23A, 21A, 19Aは1.0~1.7cm2(Ex 0.9~1.5cm2), 27Mは2.8cm2(Ex 2.5cm2)で, 27Mはやや小さく, 23A~19Aは中等度狭窄を呈していた. 以上, 術後5年でのSJM弁の遠隔成績は良好で, 期待に沿うものである. 小サイズ弁の心機能への影響や, 慢性溶血などについては, 今後の観察・再検討が必要と考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : St. Jude Medical弁, 弁機能, 血栓塞栓症, 血管内溶血, 遠隔成績
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