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いわゆる“術後紅皮症”は, 術後順調な経過をとりながら, 術後1週間～2週間後に, 突然の高熱, 猩紅熱様皮疹及び白血球減少を三徴として発症する極めて予後不良な症候群であるが, 特に消化器外科領域の術後に, その報告が散見される. 当教室では, 1985年3月までに280例のA-Cバイパス術を施行したが, うち4例に本症の発症を認めた. 今回, 最近経験した3例の詳細を報告するとともに, 原因及び対策などにつき検討を行った. 症例1は, 60歳男性, 不安定狭心症でA-Cバイパス術を施行し, 術後経過良好であったが, 第11病日より熱発, 皮疹出現し, 積極的な内科治療にもかかわらず, 白血球減少, 肝障害が増悪して第19病日に死亡した. 症例2は, 52歳男性, 不安定狭心症に対してA-Cバイパス術を施行した. 術後経過良好であったが, 第7病日より熱発し, 紅色皮疹の出現, 白血球減少を呈し, 積極的治療にもかかわらず増悪し, 第14病日に死亡した. 症例3は, 75歳男性. 不安定狭心症に対してA-Cバイパス術を施行し, 経過良好であったが, 第13病日より発熱, 全身性紅斑, 白血球減少が出現し, 集中治療も効果なく第21病日に死亡した. 以上の3症例から, その病因として免疫異常を主体とするGraft Versus Host Disease（GVHD）の可能性を強く示唆する所見が認められた. 更に, 本疾患に対する予防手段としての血液製剤に対する放射線照射の有効性についての検討を行い, 効果が期待できると思われた. |
