アブストラクト(34巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁位Ionescu-Shiley生体弁機能不全症例の検討
Subtitle :
Authors : 安藤史隆, 北山仁士, 則武正三, 松野修一, 星野恒雄*, 鏑木恒男*
Authors(kana) :
Organization : 静岡県立総合病院心臓血管外科, *静岡県立総合病院循環器科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 11
Page : 2006-2011
Year/Month : 1986 / 11
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 人工弁器種の選定は, 弁置換手術に際し極めて重要である. 近年, 種々の特性をもつIonescu-Shiley 生体弁が頻用されているが, われわれは本弁の再手術例を経験した. 患者は42歳の女性で, 本心による僧帽弁・三尖弁置換手術を受け, 3年8ヵ月後に敗血症に罹患したが薬物療法により軽快した. しかし4年8ヵ月後ごろより心不全となり, 5年2ヵ月後, 僧帽弁位生体弁の高度な逆流のため, 再手術を要した. 摘出弁にはvegetation・血栓・石灰化などはみられないが, すべての弁葉で支柱との接合部に一致して裂開・穿孔がみられ, また一部弁葉の脆弱化がみられた. 病理検査では破壊部位で組織構造の破綻が著明であったが, 他の部位の保存状態は良好で, また感染弁を疑わせる所見はなかった. 従って本例での弁破壊の主因は機械的疲労によるものと考えられた. 本弁は当初の報告に反し, 本心にみられたような耐久性の問題のみならず, 生体弁の最も重要な特性である抗血栓性においても問題が指摘されており, 早急な改良が待たれる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Ionescu-Shiley生体弁, 僧帽弁置換術, 再弁置換術, 人工弁合併症, 人工弁破壊
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