アブストラクト(34巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 断層心エコー図による大動脈弁病変の評価と手術術式の選択
Subtitle :
Authors : 山本満雄, 今井茂郎, 内藤稔, 塩田邦彦, 高橋俊二郎, 山根正隆, 西原正純, 中川準平, 寺本滋*
Authors(kana) :
Organization : 香川県立中央病院外科, *岡山大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 12
Page : 2062-2067
Year/Month : 1986 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 後天性大動脈弁病変を断層エコー図により評価し, 弁形成術か弁置換術かの手術術式の選択について検討したので報告する. 対象は1977年6月から1983年6月までの後天性大動脈弁疾患40例で, 断層エコー図により4段階に分類した. I度:軽度肥厚型, II度:交連部癒合型, III度:高度肥厚型, IV度:硬化石灰化型である. エコー分類と手術時弁所見はよく一致し, 術前の的確な評価が可能と考えられた. 大動脈弁形成術を10例に施行し, 8例に有効であった. 術前後の断層図の検討で, エコー輝度の減少, 並びに弁の可動性の増大を認めた. しかし, エコー分類I度でSellers III度の逆流を有する症例に対して弁形成術を施行したが, 術後軽度逆流が増大したため1年3ヵ月後に弁置換術を施行した. このように弁変化が軽度で弁尖の短縮のない症例においても, 弁尖の接合が悪くSellers III度以上の逆流が存在する場合があり, 弁変化が少ないためかえって弁形成術は無理であり, 弁置換術の適応と考えられた. 手術術式の選択に関しては, エコー分類III度以上の症例は弁置換術の適応であり, I度II度の症例では, 弁逆流Sellers III度以上は弁置換術, II度以下は遠隔期の再発予防効果も期待して積極的に弁形成術を行うべきであると考えられた. 術前エコー図による大動脈弁輪径計測値と術中の実測値との間には, 34例につきr=0.82と良い相関が得られ, 人工弁サイズの予測に有用であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 断層心エコー図, 大動脈弁病変, 大動脈弁形成術, 大動脈弁置換術, 大動脈弁輪径
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