アブストラクト(34巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 当院における10年間のIABP使用122例の検討
Subtitle :
Authors : 西内素, 荻野均, 橋平誠, 岡本交二, 薗潤, 岡田行功, 宮本覚, 秦紘, 立道清, 庄村東洋
Authors(kana) :
Organization : 神戸市立中央市民病院胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 12
Page : 2076-2081
Year/Month : 1986 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : IABPは, 現在では最も信頼し得る補助循環装置として広く普及するに至っている. われわれの施設でも昭和50年に本装置が導入されてからすでに10年以上が経過し, この間に122例の臨床応用が行われた. そこで, IABPの補助効果の限界を明らかにし, 次のステップとしてのより強力な補助循環法の適応を知る目的で, 122例を急性心筋梗塞群(AMI群), 開心術後使用群(LOS群)及び心筋疾患群の3群に分け, その近接成績と遠隔成績について検討し, 以下の結論を得た. 1)AMI群では, IABPと積極的な急性期手術を行った最近の4年間の治療成績は有意に改善した. 2)開心術後患者に対するIABPの使用頻度は毎年4~5%と続いているが, 手術死亡率は改善しており, 成績改善にはIABPが大きく寄与していた. 3)心筋疾患群で9例中4例の遠隔生存が得られた. 特に, 急性心筋炎ではIABP有効例の予後は良好であったことから, IABP無効のポンプ失調に対しても, 更に強力な補助循環法の適応があると考えられた. 4)122例のうち生存退院例は64例で, その遠隔成績は, 累積3年生存率で86±5%と良好であった. 開心術後にIABPを必要としたものでも長期遠隔成績は良好であり, IABP使用がその成績に悪影響を与えていないことより, IABP無効例のポンプ不全においても他の強力な補助循環法で急性期を乗り切れば, 遠隔成績において良好な結果が期待できると考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : IABP, 補助循環, 急性心筋梗塞, LOS, 急性心筋炎
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