Abstract : |
Malignant fibrous histiocytoma(MFH)は四肢の軟部組織に好発する非上皮性の悪性腫瘍である. 本腫瘍は胸部に原発することはまれであるが, われわれは胸部に原発したMFH 5症例を経験し, 全例とも術後2年以上にわたって経過を観察することができた. 本文では, 大腿に原発し肺転移を来した1症例も加えて, 本疾患の臨床像について検討した. 原発部位別にみると, 胸壁3例, 縦隔1例, 食道1例である. 5例のうち4例に手術がなされ, 2例が生存中である. 放射線治療は6例中4例になされたが, 2例に感受性が認められた. 病理組織像では, MFHに特徴的とされているstoriform patternが優位を占める症例が大部分であったが, 多形性配列が優位を占めるものが1例みられた. 臨床的予後との関連性では, 多形性配列を呈する症例ほど予後不良であった. 本腫瘍の組織発生を解明し, 臨床的診断における指標を得る目的で各種マーカーの分布を免疫組織学的, 並びに血清学的に検討した. 組織球性細胞のマーカーは6例中5例に見いだされた. また, ferritinは腫瘍組織中だけでなく血清中にも高頻度, 且つ高濃度に見いだされるのでMFHのマーカーとして有意義である. |