| Authors ： |
村上泰治, 柳英清, 入江博之, 坂東興, 中山頼和, 水取悦生, 多胡護, 名和清人, 妹尾嘉昌, 寺本滋 |
| Abstract ： |
Sequential graftsは1本の静脈グラフトで数ヵ所の冠動脈にバイパスする方法である. われわれは最近2.7mmと2.4mmのvascular punchを用いて静脈グラフトに円形の穴を開け側々吻合を行っている. その利点としては, 1)静脈グラフトに円形の穴を開けることにより均一な吻合口を作ることができる. 2)グラフト内腔が確認できるので側々吻合が容易であり, 針数が少なくてすむ, 3)側々吻合の角度を自由に取ることができる. 11例に対しsequential graftsを行った. 年齢は46から62歳, すべて男性であった. 手術適応は狭心症8例, 心筋梗塞2例, 大動脈弁狭窄と狭心症の合併1例であった. 1枝病変2例, 2枝病変3例, 3枝病変6例であった. 7例にsequential graftsのみを行い, 4例は単独グラフトを併用した. 合併手術はAVR1例, 上行大動脈解離に対するパッチグラフト1例であった. 10例についてグラフト流量を測定すると, sequential graftsは60から180ml/分, 平均114ml/分であり, 単独グラフトは35から85ml/分, 平均52ml/分であった. 術後のグラフト造影では単独グラフトが1本閉塞し, sequential graftsの側々吻合が3ヵ所, 端側吻合が2ヵ所閉塞した. しかし中枢側のグラフトはすべて開存していた. 以上われわれの経験を報告し, sequential graftsの適応, 側々吻合の技術的問題点, 今後の方向について討論を加えた. |
