Abstract : |
関心術後の腎障害, 急性腎不全については多くの報告があり, 長年にわたってその発生予防及び治療法について研究され続けているにもかかわらず, 今だに致命率が高く, 開心術後の重篤な合併症の1つとされている. 腎障害を引き起こす術中因子の多くは体外循環そのものに関係し, 体外循環中の腎血流量低下に伴う腎虚血と血球破壊による血漿遊離ヘモグロビンの増大が2大要因とされている. この血漿遊離ヘモグロビンを体外循環中より除去し, 術後急性腎不全の発生を予防するために, 体外循環回路内にプラズマフェレーシスの技術を応用すべく基礎的実験を行った. 実験は人工心肺残留血1,500~2,000mlを用いて, MPF-C, MPF-A, MPF-Mの3種のプラズマフィルターを比較検討し, 更に, 臨床応用可能と思われたMPF-Mの性能について検討した. MPF-Mはポンプ流量300mlでプラズマフィルターに対し200mmHgの陰圧を加えた操作条件において, 濾過前血中濃度を100%とすると, 3,000mlの排液後に, 血漿遊離ヘモグロビン濃度を34.2±6.5%まで低下させることができた. 本法は従来の体外循環中の限外濾過法をさらに一歩前進させ, 体外循環中の水分コントロールとともに血漿遊離ヘモグロビンを除去することが可能であり, 安全な臨床応用が十分可能であると考えられた. |