Abstract : |
1978年~1984年9月までの心房心室錯位を伴う先天性心疾患のうち, 根治手術を行った12例を対象として, 外科治療上の問題点について検討した. 症例はSLL typeの修正大血管転移症(CTGAと略す)8例, IDD typeのCTGA 1例, SLL typeの両大血管右室起始症3例であった. 心室中隔欠損(VSD)を全例に認めた. VSD閉鎖では, VSDの位置に応じて右房及び大動脈より到達するのがよいと考える. 到達経路は右房5例, 大動脈5例, 右室2例であった. 右室切開例は術後心機能が悪く, 右室切開はさけるべきである. 完全房室ブロックを防ぐためにVSDの前縁は右室側より糸をかけているが, 大動脈弁下にconusの存在しない場合には, 大動脈弁輪に糸をかけ, 同時にVSD下縁ではposterior AV nodeよりの刺激伝導路にも留意することが必要である. 三尖弁閉鎖不全(TR)の合併は4例で, 2例に弁輪形成術, 2例に三尖弁置換術を施行した. 弁輪形成術を施行した2例はTRが残存し, 術後新たに4例TRが発症した. TRの確実な処理と厳重な経過観察が必要である. 肺動脈狭窄の合併は5例で, 1例に肺動脈弁切開術を施行した. 残る4例と肺動脈閉鎖を合併した2例に対して, external conduitを用いて肺動脈を再建した. 肺動脈再建術式としては, external conduitを用いる術式が良策と考えている. |