アブストラクト(35巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 特異な所見を呈した外傷性右横隔膜ヘルニアの1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 星永進*, 由岐義広, 小林稔*, 中村千春*, 深沢学*, 鷲尾正彦*
Authors(kana) :
Organization : 鶴岡市立荘内病院外科, *山形大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 1
Page : 100-103
Year/Month : 1987 / 1
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は38歳の男性で, 約5mの高さから転落して受傷した. 諸検査の結果, 右血気胸, 右第7~9肋骨骨折, 外傷性右横隔膜ヘルニア, 肝内血腫, 第3腰椎圧迫骨折, 腎損傷と診断した. 受傷直後は緊急手術を要する腹腔内臓器損傷や重篤な呼吸障害がなく, 右胸腔持続ドレナージにて保存的に治療した. 腰椎圧迫骨折が脊髄損傷を引き起こす危険があるため受傷20日後にHarrington後方固定, 並びに後側方固定を行った. 右横隔膜ヘルニアに対しては肝内血腫の吸収を待ち, 受傷70日後に手術を行った. 手術は右開胸にて, 全体が脱出した肝右葉を腹腔内に還納し, 横隔膜欠損孔は10×7cm大のTeflon felt patchを用いて修復した. 術後は問題なく経過した. 外傷性右横隔膜ヘルニアはまれな疾患であり, しかも肝右葉の大部分が胸腔内に脱出していながら重篤な症状を有さないという特異な所見を呈した症例であるため報告した. 外傷性横隔膜ヘルニアは介達外力に起因するものが多く1)~3), 且つ左側に発生する例が大部分であるとされる2)4)~6). 最近われわれは転落事故における多発外傷で, 外傷性右横隔膜ヘルニアの1症例を経験したので報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 外傷性右横隔膜ヘルニア, 肝脱出, 肝内血腫, 多発性外傷
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