Abstract : |
1977年12月以降1984年5月までに手術した偽性総動脈幹症48例を対象として, 外科治療上の問題点について検討した. 姑息手術施行例は34例, 根治手術施行例は14例で, 14例中8例は過去に姑息手術が施行されていた. 姑息手術の術式としては, Blalock-Taussig術を第一選択とし, 肺動脈の成長が不十分である場合は, central shunt術, 右室流出路形成術を行った. 特に左右の肺動脈に連続性のない症例に対しては, 積極的に両側の体肺動脈シャント術を行い根治手術に備えており, 1例に根治手術を施行し得た. 根治手術における肺動脈再建術としては, xenograft valved conduit 12例, 1弁つき流出路パッチ拡大術2例であった. 但し, 太い大動脈-肺動脈側副動脈(LAPC)を利用して根治手術を行うと高度の肺高血圧症が残存するので, 本来の肺動脈を用いて根治手術を行うべきと考える. われわれは, 原則として根治手術に先だち姑息手術を施行し, その際にLAPCを処理する方針にしている. 乳児期早期に姑息手術を施行した症例では, LAPCの合併は少なかった. そのため, 将来の根治手術を目的として姑息手術を乳児期早期に行うことが, 肺動脈の発育を計り, LAPCの発達を防ぐ上で得策と思われた. LAPCから肺血流をうけている症例の中には, 肺血管の閉塞性病変が軽度でも術後高高血圧症が残存する症例が認められ, 根治手術適応の是非について問題となる点である. |