Abstract : |
各種酸素加装置を用いて, 開心術中の補体活性化を測定した. 補体活性化の指標としてC3a, C4a, C5aを各群に応じ測定した. 輸血を用いた群をまずI群Capiox 4. 3, II群LPM 50, III群Kolobow 3500-2A, IV群BOS 10Jの4群に分類し, BOS 10Jを用いた無輸血体外循環(ECC)群をV群とした. I~IV群はすべて各群当たり弁膜症5例ずつ, V群は心房中隔欠損(ASD)1例と虚血性心疾患4例であった. C3aの変動をみるとI群はIII群に比べECC開始後10, 30, 60分, ECC終了時及びECC終了後3時間目に有意差をもって低値を示した. I群はIV群に比べECC開始後30分, 部分ECC移行時, ECC終了後3時間目に有意に低値を示した. II群はIII群に比べECC開始後30分, ECC終了時, ECC終了後3時間目に有意に低値を示した. しかし, II群はI群とIV群間に有意差を見いだせなかった. C5aはIとII群間で測定したが著明な変動は見られなかった. C4aは輸血の影響を見るためIVとV群間で測定した. C4aの動きではECC開始後10, 30, 60分でV群が有意に低下したが, それ以後は両群とも上昇傾向が見られ, 有意差も認めなかった. C3a値の変動から酸素加装置によりガス交換膜の材質のみではなく, 内部構造や補填材により補体は活性化される可能性が示された. C4a値の変動はECCを長時間使用することで, classical pathwayも活性化される可能性が示された. |