アブストラクト(35巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 超音波パルスドプラー法による大動脈弁閉鎖不全症の定量的逆流評価法の検討
Subtitle : 原著
Authors : 松若良介, 大西健二, 吉間英雄, 大久保修和, 秦石賢, 小林芳夫
Authors(kana) :
Organization : 大阪府立病院心臓センター
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 3
Page : 276-282
Year/Month : 1987 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈弁閉鎖不全症(AR)に対して弁形成術を行う場合, 術前後での閉鎖不全の改善度を定量的に評価することは術式の選択, 予後判定の上で不可欠である. 今回われわれは超音波パルスドプラー法(DOP)を用いて非侵襲的に大動脈弁の逆流を定量的に評価することを試みた. まず開胸犬においてDOP, 熱希釈法(TD), 電磁流量計(EMF)の3法による心拍出量(CO)を比較した. DOPによるCOは, ドプラーシグナルより得られた収縮期の血液最高駆出流速の積分値に心室流出路の断面積を乗じて一回拍出量を求めさらに心拍数を乗じることによって算出した. ドプラー法のサンプル部位を弁輪部中央部に設定した場合のCOはTD, EMFのCOと良好な相関関係が得られ(r=0.75~0.93, p<0.005~0.01), DOPによる心拍出量測定の有用性が示された. 次に開胸犬にて実験的ARを作製し, DOPにより大動脈弁の逆流率(RF)を左心, 右心拍出量の差として算出しEMFによる値と比較検討した. 両者のRFは, Y(DOP)=0.81X(EMF)+5.99, r=0.882, p<0.005であり良好な相関関係を示し, ドプラー法による逆流率測定の臨床応用への実用性が示唆された. 以上の実験結果をもとに, 臨床応用を試みた. 対象は大動脈弁閉鎖不全を有する10例である. 術前にDOPによるRF, 術中にEMFによるRFを測定し比較した. 動物実験と異なり血行動態的には必ずしも同一条件での測定ではないが, 両者のRFの関係はY(DOP)=0.374X(EMF)+35.2, r=0.66, p<0.05であり有意の正の相関が得られた. 以上よりDOPによる大動脈弁の非侵襲的定量的評価法の臨床的な有用性が示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 超音波パルスドプラー法, 大動脈弁閉鎖不全症, 逆流率
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