Abstract : |
成人開心術において体外循環から離脱し得なかった6例に対し25~165時間(平均89.8時間)に及ぶ長時間のVABを行い, 血液凝固系及び溶血について検討した. 6例中4例はVABから離脱し, うち3例はIABPからも離脱し得た. しかし1例の長期生存を得たのみで, 他は多発性脳出血や腎不全を伴った多臓器障害にて失った. VAB中の出血量は時間当たり5gから125g(平均50.2g)であった. 血漿製剤及び血液の時間当たりの使用量はそれぞれ119ml及び75mlであった. 血小板数はVAB開始時すでに2.5~11×104/mm3まで減少し, その後も漸減, VAB 6日目には9,000~15,000/mm3まで減少した. フィブリノーゲンは術前240~450mg/dlあったものがVAB 2日目には90~200mg/dlとなり, その後は特に減少傾向を示さなかった. FDPは1例を除いて術前値は10μg/ml以下であったが, 手術翌日には20~100μg/mlまで上昇, その後低下し終了時には10~20μg/mlとなった. 血漿遊離ヘモグロビンはVAB開始時には平均85.2mg/dlと高値を示したが, 次第に低下し, VAB60時間を越えて測定し得た2例では10mg/dl以下であった. 膜型人工肺を用いた長時間のVABにおいても, 新鮮血や血小板輸血あるいはplasmapheresisを積極的に行うことによって, 血液凝固系や溶血のコントロールが比較的容易となった. |