Abstract : |
僧帽弁疾患にて開心術を施行した49例にpulsed Doppler echocardiography(PDE)法にて術前後のTRを定量評価し, これに他の臨床データを加味しTAPの術後評価, 及びその適応を検討した. TR重症度はPDEのTR血流検出範囲よりTR I(0~1.5cm未満), TR II(1.5cm以上~4.5cm未満), TR III(4.5cm以上)の3段階に分類した. 術前TR重症度と心臓カテーテルデータの対比ではRAm, RVs, RVEDP, PCWP, LVEDPはTRの重症度と相関した. 術後TR III残存群は他群に比しCI, NYHA機能分類, ChEが悪く, 術後データの改善も不良でありTR IIIの及ぼす臨床的影響が大きいことを示唆しており, 外科治療の絶対適応と考えられる. 一方, TRIは心臓カテーテルデータの値からもPDE法の測定精度からも臨床上そのTRは大きい意義はなく, 外科的処置は必要ないと考えられた. TR IIはretrospectiveな検討でTAP施行群と放置群に2分された. TR放置群のうち, 術後TR非改善群は術前RVsが35.3±6.2mmHgと改善群の49.4±31.0mmHgに比し低値であるのに対し, RVEDPが非改善群(8.9±2.3mmHg)は改善群(5.3±2.3mmHg)より高い傾向にあった. 従って, TR II群ではRVsが高値でないのにRVEDPが高い症例に対して積極的にTAPを施行すべきと考えられる. 以上よりPDEはTRの評価, TAPの適応決定に際し非侵襲的で優れた方法であると思われる. |