アブストラクト(35巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 解離性大動脈瘤に関する実験的研究 ―特に解離腔の消長と血栓閉塞化の検討―
Subtitle : 原著
Authors : 合田俊宏, 田辺達三
Authors(kana) :
Organization : 北海道大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 3
Page : 343-352
Year/Month : 1987 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Blanton原法によるDeBakey III型解離モデルを作製し, 解離腔の消長を各種手術方法を検討しつつ追跡した. 急性解離犬におけるentry閉鎖術では解離腔の血栓閉塞が認められた. しかし2ヵ月以上を経過した慢性解離犬ではentry閉鎖術を施行しても解離腔内の減圧は起こらず, 1.5ヵ月以降の犠牲死時にも解離腔は開存していた. この相違は解離腔内壁に仮性内膜の形成される慢性犬では, reentryより流入し肋間動脈へ流出する解離腔内逆行性血流が保たれるためと考えられた. 慢性犬に胸腹部bypass graft移植と大動脈遮断を行い解離大動脈を空置しても同様の血行動態が保たれ, 解離腔の閉塞は起こらなかった. そこで慢性解離犬においても解離腔に血栓閉塞を起こさせるため, 末梢解離腔に血栓誘発物質を挿入し血栓閉塞化させる術式を検討した. まず解離を作製していない犬で胸腹部bypass graft移植とともに大動脈を空置し, この空置大動脈内に試験管洗浄用ブラシ, 又はアイバロンスポンジのいずれかを挿入した. その結果, 膨化性に富むアイバロンスポンジは緊密に空置大動脈内を充満し完全閉塞を来した. 更に慢性解離犬で胸腹部bypass graft移植, 大動脈遮断とともに解離腔内にブラッシを挿入する方法を検討したが, 3ヵ月を経過すると解離腔の完全閉塞がみられた. 臨床応用の立場から, 簡便で侵襲の小さい術式としてentry縫合閉鎖に加えて解離腔内に棒状のアイバロンスポンジを挿入する方法を検討したが, 術後3週間以上経過すると解離腔の完全閉塞がみられた. この術式は臨床応用され, 解離腔の血栓閉塞を来し順調に経過している.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 解離性大動脈瘤, entry閉鎖術, アイバロンスポンジ
このページの一番上へ