アブストラクト(35巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 純型肺動脈狭窄症の重症度及び加齢に伴う術前後の血行動態の変化
Subtitle : 原著
Authors : 和田行雄, 北浦一弘, 佐藤伸一, 河合隆寛, 佐々木義孝, 門脇政治*, 村山祐一郎*, 白方秀二*, 大賀興一*, 岡隆宏*
Authors(kana) :
Organization : 京都府立医科大学附属小児疾患研究施設外科第2部門, *京都府立医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 3
Page : 362-369
Year/Month : 1987 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 教室で手術を施行した純型肺動脈狭窄症(PPS)症例41例につき, 術前, 術直後, 及び術後遠隔期における血行動態を検索した. 術前の右室収縮期圧(RVP)による重症度分類では, 重症群(RVP≧100mmHg)20例, 中等度軽症群(50mmHg≦RVP<100mmHg)21例であった. また30歳以上のPPSは6例(14.6%)であり, 高齢者群とした. 術前CTRは, 重症群では中等度軽症群(平均47.6%)に比べ有意に増大傾向(平均55.7%)を示し, 心電図では, 重症群は著明な右軸偏位, 及び右室strainを認めた. 高齢者群では6例中4例に頻発する期外収縮を認め, 術後も長期にわたり継続し, 心筋の不可逆的変化が示唆された. 右室流出路狭窄は重症群, 及び高齢者群で著明であった. 中等度軽症群では, 弁切開のみで右室減圧は良好であり, 遠隔期において平均46.3mmHgとなった. 重症群では, 流出路狭窄の著明な症例で, 弁切開後右記減圧が得られない症例(重症群の20%)に流出路拡大術を加えた. 弁切開のみの症例では, 弁切開直後, 及び術後24時間後のRVPは平均67.4mmHg, 57.5mmHgと経時的に減少した. 流出路拡大術を加えた症例では, 67.7mmHg, 49.0mmHgと同様に減少した. 術後遠隔期では, 平均51.8mmHgと満足すべき右室減圧が得られ, 中等度軽症群と比べ有意な差はなかった. 本症の手術に関しては, 重症例及び高齢になる程心不全や不整脈が進行することより, 可及的早期に施行するのが望ましい. 中等度軽症群に対しては, 弁切開のみで右室切開による流出路拡大術は避けるべきであり, 重症群に対する流出路拡大の適応は, 弁切開後のRVP 100mmHg以上が妥当であると考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 純型肺動脈狭窄症, 弁切開, 高齢者, 流出路狭窄, 流出路拡大術
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