Abstract : |
大動脈縮窄及び無名動脈狭窄症の3歳女児に対し, 偏側脳分離体外循環法を併用, 根治手術を行った. 送血は左大腿動脈(2.2L/min/SQ M)及び無名動脈(0.55L/min/SQ M), 脱血は右心耳から単一の脱血管で行った. 軽度低体温(直腸温32℃), 心拍動下に無名動脈狭窄, 大動脈縮窄部をそれぞれ, グルタルアルデハイド処理ウシ心膜で裏打ちしたダクロンパッチで拡大した. 術後経過は順調で術前存在した四肢動脈血圧較差も消失した. 先天性無名動脈狭窄症は極めてまれな疾患で, 現在までの報告は数例に過ぎない. われわれは大動脈縮窄症に合併した無名動脈狭窄症の幼児例に対して, 偏側脳分離体外循環法を併用することにより根治手術を行い, 良好な結果を得たので文献的考察を加えて報告する. 「症例」症例:3歳, 女児 主訴:心雑音 既往歴, 家族歴:特記すべきものなし 現病歴:6ヵ月, 心雑音を指摘され, 1歳で当院を受診した. 1歳2ヵ月, 心精査を行い, 大動脈縮窄症, 無名動脈狭窄症及び高血圧症と診断された. 3歳, 再度心精査を施行, 手術適応と判断した. 現在, 運動制限なく, 内服治療も受けていない. |