Abstract : |
成人における先天性食道気管支瘻の4手術例を経験した. 症例は39歳女性, 43歳男性, 26歳男性, 50歳男性で, 病悩期間はそれぞれ30年, 28年, 8年, 1ヵ月であった. Braimbridgeの分類でII型2例, III型1例, 比較的まれなI型1例であり, 瘻管開口部は全例中部食道で右B10, 2例, 右B6, 2例であり, うち2例に食道粘膜上皮と気管支円柱上皮との移行部を証明でき, 他の2例は食道粘膜, 固有筋層を有し瘻管に炎症所見なく, 総合的に先天性の食道気管支瘻と判断した. 治療は2例は瘻管切除のみ. 1例に右下葉切除を加え, 1例に右S6区域切除を加えた. 術後経過良好であった. 肺病変高度な場合を除き, 肺機能温存のためにも瘻管切除が理想の治療と考える. 成人における食道気道瘻は大部分が悪性腫瘍, 外傷, 炎症などによる後天性のものである. 一方, 先天性食道気道瘻は大部分が新生児期に発見され, その中でも食道閉鎖を伴わないGross-VogtのH型の非閉鎖性食道気道瘻は食道閉鎖症のわずか1~3%程度で, しかもほとんどが気管と交通しており, その手術報告は1939年Imperatori1)が最初のようである. |