Authors : |
服部良二, 魏啓明, 井村正史, 齋藤圭治, 福山守, 岡部学, 水谷哲夫, 矢田公, 湯浅浩, 草川實 |
Abstract : |
緊急性を要する心原性ショック例へのVAバイパスの適用を前提として, 左心不全心に対するVAバイパスの循環補助効果について左心バイパスと対比しつつ実験的検討を加えた. 雑種成犬を用い, 左冠動脈結紮にて急性左心不全を作製し, VAバイパス, 左心バイパスを各々9頭に対して定常流で行い, バイパス流量を20, 40, 60ml/kg/min及び最大流量と変化させた. 結果は, (1)VAバイパスでは, 40ml/kg/minの流量で不全即値と比べ全身灌流量は有意に増加(p<0.05)し, LAPは低下(p<0.05), MvO2及び左室収縮期壁応力は低く保たれ, 最大の循環補助効果が得られた. しかし, それ以上のバイパス流量では, 全身灌流量の増加が得られず, 末梢動脈圧の上昇のためMvO2, 左室収縮末期壁応力の 有意の増加がみられ, 左室負荷は増大していた. (2)左心バイパスでは, 40ml/kg/minの流量では全身灌流量, 左室負荷ともVAバイパスと有意差がみられなかったが, 最大流量においては左室の減圧とともにMvO2の有意(p<0.005)の減少がみられ, 全身灌流量も増加し, 左心バイパスにおける循環補助効果は最大流量においても最も明らかであった. 以上の結果から, VAバイパスによる最大左心補助効果は40ml/kg/minのバイパス流量で得られるが, それ以上の流量補助を要する場合には左心のsystolic unloadingを計るためのIABPの併用, 又は左心補助循環が必要であることを明らかにした. |