アブストラクト(35巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ラジオアイソトープ法を用いた生理的ペーシングの血行動態的意義に関する研究
Subtitle :
Authors : 小坂井嘉夫
Authors(kana) :
Organization : 国立循環器病センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 6
Page : 776-785
Year/Month : 1987 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心房ペーシング(AP)11例, 心房心室順次ペーシング(AVP)10例及び心室ペーシング(VP)11例について左室容積の変化をラジオアイソトープ法を用いて比較検討を行った. ペーシングレートを漸次増加し生理的ペーシングが心臓ポンプ機能にいかに関与するかを検討した. ペーシングレート70/分以下では, ペーシングレート増加とともに一回拍出量係数(SI)及び左室拡張末期容積係数(LVEDVI)は減少し心係数(CI)は増加した. これらにはAP群, AVP群及びVP群の間に有意差を認めなかった. ペーシングレートを漸増し70/分を越えた場合, AP群及びAVP群ではLVEDVI及びSIの減少は少なくCIは有意に増加した. これに反し, VP群ではLVEDVI及びSIは有意に減少しCIは増加せずプラトーとなった. ペーシングレート90/分以上においてAP群及びAVP群はVP群に比し有意の差を認めた(p<0.001). AP群及びAVP群の間には有意差を認めなかった. 駆出率は各ペーシングレート及び各群間において有意差を認めなかった. 以上より, AP及びAVPの生理的ペーシングにおいては, ペーシングレート70/分を越える高心拍域にて, VPに比しその有効性が顕著となることが明らかとなった. 生理的ペーシングにおいては, AP群とAVP群の間に血行動態的差を認めなかったことより心房の補助ポンプ作用の効果によるところが主であり, 協調的心室収縮様式の関与は少ないことが明らかとなった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 生理的ペーシング, ラジオアイソトープ法, 左室容積, 血行動態, 心房補助ポンプ作用
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