アブストラクト(35巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心室中隔欠損に伴う大動脈弁閉鎖不全症の手術適応の検討-電磁流量計による大動脈血流逆流率よりみた大動脈弁形成術の適応-
Subtitle :
Authors : 楠原健嗣, 三木成仁, 上田裕一, 大北裕, 田畑隆文, 米田正始
Authors(kana) :
Organization : 天理よろづ相談所病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 7
Page : 921-926
Year/Month : 1987 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心室中隔欠損症(VSD)に伴う大動脈弁閉鎖不全症(AR)38例について, 聴診所見, 大動脈造影所見の他に術中電磁流量計を用い大動脈基部において計測した大動脈血流逆流率(ARR)によりARの程度を測定し, その結果より大動脈弁形成術(AVP)あるいは大動脈弁置換術(AVR)の適応基準を検討した. VSD閉鎖のみのもの(A群), AVPを行ったもの(B群), 術後ARが消失したもの(I群)ARが残存したもの(II群)とし, AI(9例), AII(5例), BI(20例), BII(4例)の4群に分類した. ARRは, I群29例ではAI群で術前平均8.8%より術後7.3%に, またBI群で平均35.7%より8.7%に減少した. 一方, II群9例でもAII群で術前平均19.4%より術後15.8%に, BII群で平均44.3%より19.8%に減少した. AII群で術前ARR 25%以上のものは術後も改善は見られなかった. またAI群は全例術前よりARRは25%以下であった. 以上よりわれわれはARR 20%以下のものはVSD閉鎖のみとし, ARR 25%より大のものはAVPあるいはAVRの絶対適応としている. ARR20~25%のものは, 電磁流量計の計測誤差も考え, 術時大動脈切開を加え弁の性状を検索しAVPの適応を決定することにしている. ARRと術前の大動脈造影所見(Sellers分類)との関係では, ARI度の症例はARR 5~15%, II度の症例は20~35%, III度の症例は25~50%, IV度の症例は45%以上でよく相関していた(r=0.87, p<0.01).
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心室中隔欠損症, 大動脈弁閉鎖不全症, 電磁流量計, 大動脈血流逆流率, 大動脈弁形成術
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