アブストラクト(35巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺嚢胞症-臨床的検討
Subtitle :
Authors : 住元了, 林浩二
Authors(kana) :
Organization : 国立療養所広島病院
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 7
Page : 927-932
Year/Month : 1987 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺嚢胞症は, 臨床的, 病理学的に肺胞性肺嚢胞症と気管支性肺嚢胞症に大別される. 更に前者はBleb, Bulla, 巨大Bulla, 後者は孤立性, 多発性に細分される. 当院において手術を行った気管支性嚢胞6例, 自然気胸症例127例, 巨大Bulla 36例の臨床経験を通し, 各疾患の概念, 病態, 発生機序, 臨床症状, 診断, 治療に関して考察してみた. 1)気管支性嚢胞は, 気管支系の中枢側寄りに発生する嚢胞で, 嚢胞内感染を合併するものが多い. X線学的にも6例中5例において鏡面像を認めた. 多くは若年発症で幼少期より感染を繰り返す傾向を認めた. 本疾患は病理組織学的に診断される. 2)気胸症例の多くは, Blebや小さなBullaの破裂により生じ, 若年男性に多い. しぼしば両側性に発生し, 両側気胸発症も12%の症例に認めた. 保存的療法の再発率は18%, 開胸術後のそれは7%であった. 再発防止の観点から考えると手術療法がまさると思われる. 3)巨大Bullaは1), 2)の疾患に比し, 中高年齢層の男性に多く発症し, 喫煙との因果関係も示唆される. 気胸及び嚢胞内感染合併頻度もそれぞれ16%, 6%と少ない. 巨大Bulla自体, 肺癌発生のRisk factorと言われており自験例においても36例中2例(6%)に合併を認めた. 一側胸腔の3分の1以上占拠する本疾患においても無症状例が36例中10例(28%)に認めた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺嚢胞症, Bleb, Bulla, 気胸, 気管支性嚢胞
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